ホームページの更新を内製化するには?外注との費用比較と、AIで回す社内体制の作り方

お知らせ1本を直すのに、制作会社へメールを送り、数日待つ。この状態から抜け出すために、専任のWeb担当者を雇う必要はありません。そろえるのは、社内の人が触れる管理画面、誰が書いて誰が公開するかのルール、下書きを作るAIの3つです。
3つが整えば、お知らせや実績、ブログといった更新の大半は社内で終わり、外に頼むのはデザインの変更や機能の追加に絞れます。月4回更新する会社の試算では、外注の月4万円が月1.8万円ほどになり、担当者の手間も年に約36時間減ります。費用と時間の比べ方、社内の役割の分け方、最初の1か月の進め方を順に説明します。
ホームページの内製化とは、更新を社内で終わらせること
ホームページの内製化とは、外の制作会社に頼んでいた作業を、社内の人で回せるようにすることです。といっても、デザインの作り直しや機能の開発まで社内で抱える必要はありません。多くの会社で対象になるのは、お知らせ、施工事例や導入実績、ブログ、採用情報といった「中身の更新」です。
更新は回数が多いわりに、1回ごとの作業は小さなものです。それを外に頼むと、依頼文を書き、返事を待ち、反映を確かめる往復が、仕事の大半を占めてしまいます。勤務先でホームページの制作・運用に携わる567人への調査でも、運用時の課題で一番多かったのは「わずかな変更箇所であっても、対応に日数を要すること」(34.7%)でした。ペライチの調査(2024年7月)
内製化で目指すのは、この小さな更新を社内で、その日のうちに終わらせる状態です。外に頼む仕事は、見た目の変更や新しい機能の追加のように、専門の知識が要る作業に絞ります。
外注と内製化を、費用と時間で比べる
まずは、更新を外注している場合と、社内でAIを使って更新する場合を並べます。
比べる点 | 外注で更新する | 社内で更新する(AIで下書き) |
|---|---|---|
更新1回の費用 | 文章の修正で1回2,000〜5,000円台が多い | 社内の作業時間だけ |
毎月の固定費 | 保守費が月1万〜5万円ほど | 保守運用とAIツールの料金 |
公開までの時間 | 依頼から数日かかることもある | 早ければその日のうち |
担当者の手間(1回) | 約60分(依頼文・やりとり・確認) | 約15分(頼む・下書きを確かめる) |
急な告知 | 制作会社の営業日しだい | 社内の判断で出せる |
向いている仕事 | デザインの変更、機能の追加 | お知らせ、実績、ブログ、採用情報 |
保守費の目安はPRONIアイミツの記事、更新1回の料金は公開されている制作会社の料金表から拾いました。担当者の手間の分数は、当社の想定です。
月4回更新する会社の試算
お知らせや実績を月に4回更新する会社で計算してみます。外注の場合、保守に月2万円、更新代行に1回5,000円を払うと、合計は月4万円です。社内でAIを使って更新する場合は、更新代行がなくなります。残るのは保守運用の月1.5万円(当社の料金)とAIツールの約3,100円(Claude Proの月20ドルを1ドル155円で換算)で、合わせて月1.8万円ほどです。差は月約2.2万円、年にすると約26万円です。
時間の差も見ておきます。1回あたり45分の差(上の表の想定)が、月4回、12か月で約36時間。丸4営業日以上になり、その分を営業や、お客様への提案、問い合わせへの返信に回せます。

ただし、内製化には最初の費用がかかります。社内で更新できる管理画面がない場合は、サイトの作り直しや移行が必要です。当社の場合、サイト制作は50万円〜、AIの設定・講習会・マニュアルまで含めたAIネイティブなサイトは総額92万円〜(どちらも税別)です。更新が年に数回しかない会社なら、外注のままのほうが安く済むこともあります。費用の内訳はEmDashの料金と制作費の目安で詳しく説明しています。
内製化が向いている会社、向いていない会社
費用と時間の差が大きく出るのは、更新の回数が多く、載せたい出来事が社内で起きる会社です。次のような会社は、内製化で得をしやすいといえます。
- 施工の完了、受賞、採用、イベントなど、毎月なにかしら載せたい出来事がある
- 出来事の中身を制作会社に説明する手間が、作業そのものより大きい
- 臨時休業やキャンペーンを、その日のうちに出したい
- 今の保守費の多くが、更新代行の料金で占められている
反対に、会社案内がほとんど変わらず更新が年に数回の会社や、毎回デザインを作り込むキャンペーンページが中心の会社は、外注のままでも困りません。社内に「確かめる人」を置けず、1人で書いてそのまま出すしかない場合も、先に体制から考えたほうが安全です。
内製化に要るのは「管理画面・ルール・AI」の3つ

専任のWeb担当者を新しく雇わなくても、内製化はできます。そろえるのは次の3つです。
1. 社内の人が触れる管理画面
1つ目は、CMS(文章や画像を、ブラウザの画面から書き換えられる仕組み)の管理画面です。HTMLのファイルを直接書き換える作りのサイトでは、担当者が更新するたびに専門の知識が要るため、内製化はほぼできません。
管理画面で見ておきたいのは、入力欄の分かれ方です。お知らせなら「タイトル」「日付」「本文」「写真」、施工事例なら「物件の種類」「地域」「工期」のように欄が分かれていれば、担当者は欄を埋めるだけで、ページの見た目はそろいます。担当者ごとにアカウントを作れるか、公開できる人を限れるかも、あわせて見ておきたい点です。管理画面での更新の流れはホームページを自分で更新する方法で図解しています。
2. 誰が書き、誰が確かめ、誰が公開するかのルール
2つ目は、社内のルールです。外注していたころは、制作会社が表記をそろえ、写真のサイズを直し、おかしな点があれば聞き返してくれていました。内製化すると、この確認を社内で受け持つことになります。
決めておくのは、表記(「お問い合わせ」か「お問合せ」か、日付の書き方)、使ってよい写真(お客様の顔や建物の外観を載せる許可)、日付や金額を誰が確かめるか、の3つです。文書にしておけば、担当が替わっても同じ品質で出せます。

AIを使うなら、同じ決まりをAIへの指示文にも書いておきます。たとえば次のような内容です。
- お知らせのタイトルは30字以内。日付は「2026年11月4日」の形で書く
- 社名や商品名は、正式な表記の一覧にあるとおりに書く
- お客様の名前、日付、金額は、担当者が渡したものだけを使う。足りなければ聞き返す
- 写真は、担当者が選んだものだけを使う
指示文に書いた決まりは担当者が替わっても残り、AIはそれに沿って下書きを作ります。決まりが人の記憶だけに頼らなくなるのが、AIを使う内製化の強みです。
3. 下書きを作るAI
3つ目は、下書きを作るAIです。チャットのAIで文章を作り、管理画面に貼り付けるだけでも手間は減ります。AIを管理画面につなぐ仕組み(MCP。AIとサイトをつなぐ共通の接続口)まで使うと、担当者が「来週の臨時休業のお知らせを出して」と頼んだだけで、AIが入力欄に沿って下書きを保存してくれます。
担当者がAIに送る依頼は、次のくらいの短さで足ります。
「12月29日から1月3日まで年末年始の休業。1月4日から通常営業。電話の受付も同じ日程で休み。お知らせの下書きを作って」
AIはこの内容を、タイトル、日付、本文の欄に分けて下書きにします。担当者は下書きを開いて、日付と曜日が合っているか、文面に誤りがないかを確かめ、公開するだけです。AIに頼む前提でサイトを設計する考え方は、AIネイティブなホームページ設計にまとめました。
社内の役割は「書く・確かめる・公開する」に分ける

内製化で起きやすい失敗は、1人の担当者が書いて、そのまま公開してしまうことです。日付の打ち間違いや、載せてはいけない写真に、誰も気づかないまま公開されます。そこで、仕事を3つの役割に分けます。
- 書く人:何を載せるかを決め、事実(日付、金額、お客様の名前)をAIに渡す。AIが作った下書きを読み、直しを頼む
- 確かめる人:公開前に、事実と表記、写真の許可を確かめる。部署の責任者や、内容に詳しい人が向いている
- 公開する人:確かめた下書きを公開する。少人数の会社なら、確かめる人と同じでもかまわない
このうち、書く人と確かめる人だけは別の人にします。社員が3人の会社でも、「書くのは事務の担当、確かめて公開するのは社長」と決めるだけで、間違いは減ります。
この役割は、管理画面の権限(アカウントごとに許す操作)で裏づけます。当社が使っているCMS「EmDash」の場合、「寄稿者」の権限では下書きの作成と自分の下書きの編集までしかできず、公開できるのは「投稿者」以上の権限を持つ人です。名前が似ているので、AIをつなぐときは寄稿者を選んでください。そうしておけば、AIが勝手に公開することはありません。AIに任せる範囲の決め方はAIに任せる仕事と、任せない仕事の見分け方で詳しく説明しています。
社内でやる仕事と、外に残す仕事の線引き
内製化といっても、全部を社内で抱える必要はありません。回数が多く、中身の判断が社内にある仕事は社内へ。専門の知識が要り、間違えるとサイト全体に影響する仕事は外に残します。
仕事 | 社内(担当者とAI) | 外(制作会社) |
|---|---|---|
お知らせ・ブログの更新 | 担当する | なし |
施工事例・導入実績の追加 | 担当する | 項目を増やすときに相談 |
採用情報・写真の差し替え | 担当する | なし |
既存の型での新しいページ | 担当する | 型そのものを作るときに依頼 |
デザイン・レイアウトの変更 | 要望を出す | 担当する |
フォーム・予約などの機能 | 要望を出す | 担当する |
CMS本体の更新とバックアップ | 確認を受ける | 担当する |
脆弱性(ソフトの弱点)のチェックと監視 | 報告を受ける | 担当する |
内製化で増える仕事もあります。下書きの最終確認、写真の掲載許可の確認、何をいつ載せるかの予定づくりです。外注費が減るかわりに、社内の確認の時間は増えることになります。それでも、1回60分の往復が15分の確認に変われば、差し引きで手は空く計算です。
今の保守費に何が含まれているかを確かめると、どの仕事を社内に移せるかが見えてきます。見直し方はホームページの管理費の内訳で紹介しています。
AIに任せる範囲にも、線を引いておく
社内の仕事の中でも、AIに任せるところと、人が持つところを分けておきます。
- AIに任せる:下書きを書く、内容を入力欄に振り分ける、表記をそろえる、写真の説明文の案を作る、長い文章を短くまとめる
- 人が持つ:日付、金額、お客様の名前などの事実を渡す。写真や社名を載せてよいかを判断する。公開するかどうかを決める
AIは、渡された材料をもとに文章を整えるのが得意な一方、材料にない事実を補おうとすると、もっともらしい誤りを書くことがあります。事実は人が渡し、公開の判断も人が持つ。この線を守っておけば、AIに任せる範囲を広げても、誤った内容が公開される心配は小さく抑えられます。
始める順番。最初の1か月でやること

内製化は、いきなり全部を切り替えるより、お知らせ1本から始めるほうがうまくいきます。最初の1か月は、次の順で進めます。
- 1週目:更新したいページを書き出し、書く人・確かめる人・公開する人を決める。管理画面のアカウントを人数分作る
- 2週目:お知らせを1本、AIに下書きさせて、確かめて公開するところまで通す。かかった時間を書き留める
- 3週目:表記、写真、確かめる項目のルールを文書にする。同じ内容を、AIに渡す指示文にも書いておく
- 4週目:施工事例やブログにも広げる。1か月で何本更新できたか、1本に何分かかったかを振り返る
2週目に1本通しておくと、どこで手が止まるかが分かります。管理画面の操作で迷ったのか、AIへの頼み方なのか、確かめる人の返事待ちなのか。止まった場所がそのまま、3週目に文書へ書くルールになります。
4週目の振り返りでは、次の4つを外注していたころと比べます。
- 1か月に更新できた本数
- 1本あたりにかかった担当者の時間
- 載せたいと決めてから、公開されるまでの日数
- 公開したあとに直した回数
本数が増え、公開までの日数が縮んでいれば、内製化はうまく回っています。直した回数が多いときは、確かめる項目の一覧か、AIへの指示文に足りない決まりがあるはずです。そこを書き足してから、次の月に進みます。
つまずきやすい4つの場面と、その対策
内製化を始めた会社がつまずくのは、たいてい次のどれかです。
場面 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
担当者が忙しい | 更新が後回しになり、お知らせが止まる | AIに下書きまで任せ、担当者は確かめるだけにする。更新する曜日を決める |
AIの下書きの事実が違う | 日付や金額の誤りに気づかず公開する | 事実は人が渡す。確かめる項目を一覧にして、毎回見る |
担当者が1人だけ | 休みや退職で更新が止まる | アカウントを会社名義にし、手順と判断の基準を文書とAIへの指示文に残す |
見た目を崩す | 本文の装飾が増え、ページごとに見た目がばらつく | 入力欄で項目を分け、レイアウトに触れない権限で運用する |
どの場面も、根っこは「人の記憶に頼っている」ことです。手順と判断の基準を文書に書き、同じ内容をAIへの指示文にも入れておくと、担当者が替わっても、AIは同じ決まりに沿って下書きを作ります。
外注から内製化へ切り替える前に、確かめる4つのこと
最後に、今の制作会社との関係を切り替える前に確かめておきたいことです。
- 管理画面のアカウントが御社名義か。制作会社の名義なら、御社のアカウントを作ってもらう
- ドメインとサーバーの契約者が誰か。御社名義でなければ、移し方を相談する
- 今の保守契約の範囲と、解約や変更の時期。更新代行だけを外す契約にできるかも聞く
- 今のサイトで、社内の人が更新できるか。管理画面がない、入力欄が分かれていないなら、作り直しや移行を考える

移行が必要になったときの流れは、おおよそ次のとおりです。まず今のサイトの記事と画像を書き出し、新しい管理画面に移します。ページのURLが変わる場合は、古いURLから新しいURLへ自動で案内する設定(リダイレクト)を入れて、検索からの訪問を引き継ぎます。最後は、社内の担当者が操作の講習を受け、マニュアルを手元に置いた状態での切り替えです。
4つ目で「今のサイトのままでは難しい」となったら、更新する前提でサイトを作り直す時期です。当社では、AIで更新できるサイトの制作から、AIの設定、社内向けの講習会とマニュアルまでを一緒に用意しています。公開後に本体の更新とバックアップを受け持つのが、保守運用(月1.5万円・税別)です。個人情報を扱うサイトには、脆弱性のチェックや監視まで任せられるセキュリティ保守(月10万円〜・税別、保守運用とセット)もあります。
よくある質問
ホームページの内製化とは何ですか?
制作会社に頼んでいたホームページの作業を、社内の人で回せるようにすることです。多くの会社で対象になるのは、お知らせ、施工事例や導入実績、ブログ、採用情報などの中身の更新です。デザインの変更や機能の追加は、内製化した後も制作会社に頼むのが一般的です。
内製化するには、専任のWeb担当者が必要ですか?
必要ありません。社内の人が触れる管理画面、誰が書いて誰が公開するかのルール、下書きを作るAIの3つがそろえば、ほかの仕事と兼ねている担当者でも更新を回せます。ただし、書く人と確かめる人は分けることをおすすめします。
内製化すると、費用はどのくらい下がりますか?
月4回更新する会社の試算では、保守月2万円と更新代行1回5,000円の外注(月4万円)が、保守運用月1.5万円とAIツール約3,100円(月1.8万円ほど)になり、年に約26万円の差になります。一方で、社内で更新できる管理画面がない場合は、サイトの作り直しや移行に初期費用がかかります。更新が年に数回の会社では、外注のままのほうが安いこともあります。
AIに更新を任せて、間違った内容が公開されませんか?
AIの権限を下書きまでに限り、公開は人が行う形にすれば、AIが勝手に公開することはありません。EmDashでは、寄稿者の権限は下書きの作成と自分の下書きの編集までで、公開には投稿者以上の権限が必要です。日付や金額などの事実は人がAIに渡し、公開前に確かめる項目を決めておきます。
内製化した後も、制作会社に頼む仕事はありますか?
あります。デザインやレイアウトの変更、フォームや予約などの機能の追加、CMS本体の更新とバックアップ、脆弱性のチェックや監視は、専門の知識が要るので外に残すのが一般的です。当社では、保守運用(月1.5万円・税別)とセキュリティ保守(月10万円〜・税別、保守運用とセット)を用意しています。
内製化は何から始めればいいですか?
お知らせ1本から始めるのがおすすめです。1週目に更新したいページと役割を決め、2週目にお知らせを1本、AIの下書きから公開まで通します。3週目に表記や写真のルールを文書とAIへの指示文に書き、4週目に施工事例やブログへ広げて、1か月を振り返ります。